ハイメール通信

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ハイメール通信No.862　2024.4.30
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空席だった過ぎ越しの食卓
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過ぎ越しの祭りが22日日没から29日にかけて、イスラエル及び世界中のユダヤ人社会で祝われました。出エジプトの記憶を記念する自由と解放の祝日で、日本人にとっての正月のように、遠方の家族も帰省して祝う大切な家族行事です。

しかし今年は、あまりにも多くの家族が悲しみの中で過ぎ越しを迎えました。10/7テロで虐殺された1200人以上の犠牲者の遺族は、これまで共に過ぎ越しを祝った家族がいないという悲しい現実を突き付けられました。そして、いまだガザに拉致されている133人の人質の家族は、愛する人が200日以上もハマスの手の中で極限状態に置かれている現実と向き合わなければなりませんでした。過ぎ越しの祭りまでには帰ってきてほしい…という願いは、残念ながら実現しませんでした。

10月7日に襲撃されたキブツ（コミュニティー）の一つ、ニール・オズは、今年は過ぎ越しの祝いを中止しました。住民約400人のうち4分の1以上が殺されるかガザに拉致され、そのうち36人が今も戻っていません。彼らが捕われの身のままでは、とても祝うことなどできませんでした。テロリストに放火され焼け焦げた跡が残る食堂に、例年どおりマッツァ（種なしパン）とグレープジュースを並べたテーブルセッティングだけは準備されました。そして、いまだ解放されていない人々の席一つ一つに、彼らの写真が飾られました。季節は巡ってキブツの敷地内の緑はよみがえり、茂みの植物が再び美しい春の花を咲かせています。しかし目を移せば、焼け焦げて荒れ果てた空っぽの家々が並んでいます。「ここで起こったことに世界が無関心でいてほしくないです。私たちと一緒に叫び、声を上げ、ハマスやカタールに圧力を掛け、私たちの大切な人を連れ戻すためにできる限りのことをしてほしい」と、家族を殺された人は語りました。今年の過ぎ越しの晩の食事では、世界中の多くのユダヤ人家庭が、いまだ戻らぬ人々を思い食卓に空席を一つ設けました。

人質の家族の間では、時間と共に人質解放交渉を巡る意見の違いが大きくなってきています。一刻も早い交渉成立を求める人々の間では、業を煮やして反政府デモが起きています。一方で、過去の人質囚人交換の轍を踏んではならないと考え、重罪犯テロリストの釈放を含むような交渉を望まない人もいます。どちらも家族を愛する思いは同じで、毎日断腸の思いで帰りを待ち望んでいます。

人質が今日も守られるように、既に亡くなっている方も含め一日も早く家族の元に帰れるように、そして彼らの帰りを待ち望む家族も支えられるようにお祈りください。またネタニヤフ首相を始めとする指導者らが、大変な粘り強さと勇気を必要とされている状況の中で正しい決断を下せるように、主の助けと導きをお祈りください。


「私は山に向かって目を上げる。私の助けは　どこから来るのか。私の助けは主から来る。天地を造られたお方から」（詩篇121：1〜2）

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