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プロジェクトレポート

時間との戦い 旧ソビエト連邦の新しい反ユダヤ主義

TEXT:レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

国境が閉じられる前にユダヤ人を脱出させる―そのために残された時間はあまり多くはありません。ここに来て、旧ソビエトの至る所で反ユダヤ主義的行為が盛んになってきました。

ウクライナの反ユダヤ主義事件

BFPの『救出作戦プロジェクト』の協力機関である国際エズラプロジェクトの副会長バリー・ワグナー牧師は、「私たちは時間との戦いの中にいる」と述べています。また、ウクライナのパスポート発給所で働く職員が救出作戦のスタッフに語ったところによると、イスラエル行きを希望するユダヤ人に対し、パスポート発行の手続きを故意に遅らせるようにと上からの指示があったということです。

現在、反ユダヤ主義を名乗る活動が増加しており、特にウクライナで顕著になっています。7月初め、キエフではファシズム機関(ヒトラー時代の政策回帰を目指す機関)がフェンスや建物の壁に「ユダヤ人を殺せ」「ユダヤ人を殺して、われわれを救おう」「ユダヤ人は政府を腐敗させている」などと書く反ユダヤ的行為を行いました。この事件はウクライナのテレビで放映されるほど大きなニュースとなりました。続く8月には、ナチスの制服と小道具一式が市場で売られているのをキエフ警察が見付けたというニュースが報じられました。幸い、ユダヤ人市民の嘆願により、その露天商は逮捕され商品は没収されました。

ワグナー牧師によると、キエフ・スタジアムでサッカーの試合が終わったある晩、目を血走らせた暴徒の集団が通りを練り歩いていたそうです。彼らは中央のシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)に着くと建物の窓をすべて石で割り、ラビを通りに引きずり出し、石を投げるなどして傷つけました。ラビは重傷を負い、今なお治療中です。その数週間後、キエフのユダヤ人学校が放火される事件も起きました。

さらにショッキングだったのは、救出作戦プロジェクトのスタッフが目の当たりにしたある出来事です。キエフのユダヤ人コミュニティが主催し、イスラエル人の高官も招かれたコンサートで、会場の外に盾や銃、警棒を手に暴徒を取り締まる大勢の警官たちが道路のあちこちに配備されていたのです。何百人ものネオナチ(ヒトラーを指導者とするナチス思想の継承者)が、コンサートの入場者と警官の間に陣取っていたからです。彼らは「600万人は十分ではなかった」「われわれはヒトラーができなかったことを成し遂げる」「ユダヤ人に死を」「皆が一人のユダヤ人を殺そう」などというスローガンを掲げていました。救出作戦プロジェクトのスタッフと共にいたユダヤ人出席者は、恐怖におびえていました。このように私たちは、ヨーロッパと旧ソ連の多くの国々でユダヤ人に対する憎しみが燃え上がっているのを直接見聞きしています。

リュボフさんと子どもたち

救出作戦プロジェクトの成果

BFPはこういった"時の印"を深刻に受け止めています。そして、国境が閉じられる前に、できるだけ多くのユダヤ人を救出するために精一杯のことをしたいと思っています。このプログラムを始めて以来、 3万3千人以上のユダヤ人を救出してきましたが、彼らにはそれぞれ異なる背景があります。リュボフさんという女性は夫が大酒飲みで家族を養えず、10人の子どもたちを一生懸命育ててきました。国からの援助はなく、一家は彼女が地元のホテルの清掃員として働くわずかな収入に頼っていました。リュボフさんは娘たちが地元で結婚することを許さず、イスラエルへ行くまで待たせていました。そんな彼女が突然、心臓発作で倒れたのです。しかも病院から、「もしあなたがここで死んだら病院の業績に傷が付く」と言われ、入院を拒否されました。そこで救出プログラムのチームが彼女にイスラエルへ行くことを提案し、領事館までの交通費や滞在費用、食料、パスポート取得費用や交通費などを含む経済的援助を行ったのです。こうして家族全員、無事12月にイスラエルに到着しました。

金銭以上の助けを提供する

また、ビクトリアさんという女性は、「私は本当に心配され、愛を受けているのを感じました」と手紙を送ってくださいました。「最も大きなことは、私がすべての状況を乗り越える助けをしてくださったことです」とその手紙は締めくくられていました。

私たちは必要な書類を入手し、彼らが出国するまでの家賃や食費、公共料金などを提供しています。不可能と思われる状況に対して精一杯の愛を示し、心から心配することが、困難の中にいる人々には慰めとなります。

今日、義人のクリスチャンが必要とされています。ホロコーストのさなか、ユダヤ人の命を救うために命を懸けたクリスチャンのことをよく思い出します。コーリー・テン・ブームやオスカー・シンドラーなどです。反ユダヤ主義の風潮は再び強くなっています。今は私たちが一歩踏み出し、「はい、主よ、私たちはあなたの民を救出します」と応答する時です。救出作戦プロジェクトに捧げられた献金は文字通り、危険にさらされているユダヤ人に捧げられ、イスラエルでの新しい生活のために使われます。一人を救うのに掛かる平均的な費用は40000円ですが、たとえ1000円であっても額にかかわらず大きな助けになります。皆様も神の救出計画の一部を担っていただけませんか。

「私を滅びの穴から、泥沼から、引き上げてくださった。そして、私の足を巌の上に置き、私の歩みを確かにされた。主は、私の口に、新しい歌、われらの神への賛美を授けられた。多くの者は見、そして恐れ、主に信頼しよう。」(詩40:2-3)

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